式根島(しきねじま)は、伊豆諸島の有人島です。富士箱根伊豆国立公園に指定されており、リアス式海岸が織りなす美しい入江と、海岸線に自噴する希少な温泉群が大きな特徴です。

地理

式根島は、東京都心から南へ約160kmの太平洋上に位置する伊豆諸島・小笠原諸島を合わせた東京諸島の有人島の中で最も小さな島です。行政区分は東京都新島村に属し、3地区「本村(新島)」「若郷(新島)」「式根島(式根島)」の一つとなっています。隣合う新島と式根島は、かつて地続きであったという伝説が残るほど、地質学的にも歴史・文化的にも極めて深い繋がりを持っています。

なりたち・地質

式根島は約1万年前に活動した「式根島火山」によって形成された火山島です。式根島は、隣接する新島や神津島をはじめ他の東京諸島の島々とは対照的に、標高が低く平坦な外観を持つのが特徴です。

手前の平らな島が式根島。奥は神津島。
島名最高標高山名
伊豆大島758m三原山
利島508m宮塚山
新島432m石山
式根島109m佐々木山
神津島572m天上山
三宅島775m雄山
御蔵島851m御山
八丈島854m八丈富士
青ヶ島423m丸山

式根島を形作ったのは、粘り気の強い「流紋岩質(りゅうもんがんしつ)」の溶岩です。噴火の際、火口から流れ出したこの溶岩は、じわじわと広がる過程で地表面に凹凸とした「しわ」を作りました。 現在、島の内陸部に見られる連なった小さな丘や、複雑に入り組んだリアス式海岸の湾の多くは、この凹凸であると考えられています。

また流紋岩は「白砂」に姿を変えて、式根島の美しい海岸の風景となっています。

穏やかな入り江の泊浦

基本データ・人口など

新島村全体の人口は2,295人(1,298世帯)で、そのうち式根島地区には村全体の約2割弱の人々が暮らしています。

自治体東京都新島村
所在地北緯34度19分、東経139度13分
面積3.88k㎡
周囲約12 km
最高標高109m
式根島人口446人(男225人、女221人)
式根島世帯数256世帯

データ引用元:2026年4月現在(新島村HP

交通とアクセス

本土とのルート

式根島と本土を直通するアクセスは船に限られます。

  • 大型客船(さるびあ丸): 東京・竹芝客船ターミナルから約8〜11時間。夜に出発し、朝に島へ到着する旅情ある航路です。
  • 高速ジェット船: 東京・竹芝客船ターミナルから約3時間。日帰りの往来が可能です。
  • フェリーあぜりあ: 静岡県・下田港から約3時間〜。車や貨物の輸送も担っています。

また、隣の新島には空港があり、東京の調布空港から19人乗りの小型飛行機1日3~4便が飛んでいます。主に、式根島と新島をつなぐ1日3便の新島村連絡船「にしき」などを利用して、飛行機経由でアクセスすることもできます。

島間交通

  • 連絡船「にしき」:
    隣の新島と式根島をわずか15分で結んでいます(1日3往復)。

島内の交通手段

島の規模が小さいので、バスやタクシーはありません。島民は車の移動がメインです。

観光客の交通手段

  • レンタサイクル
    最も一般的な移動手段。島内各所で貸出あり
  • レンタバイク
    原付バイクの貸出あり
  • 徒歩
    島1周は約12kmで、徒歩でも十分回れる規模です
  • レンタカー
    荷物が多い、人数が多い、子供が小さい、高齢者がいるなどの場合はレンタカーの利用が便利です

気候

温暖な海洋性気候に恵まれており、黒潮の影響で冬は暖かく、夏は比較的涼しく過ごせます。ただし、年間を通じて風が強く、特に冬場には「西ん風(にしんかぜ)」と呼ばれる強い季節風が吹くのが島の日常的な風景です。

式根島の歴史

式根島の歴史は古く、島内の吹之江(ふきのえ)遺跡からは縄文時代の祭祀用土器が見つかっており、古来より人々がこの島を利用していたことが分かっています。

長らく定住者はおらず、江戸時代は流人の仮泊港や湯治場、新島の庫島(くらじま/倉庫のように海産物や薪、作物などの収穫に使われる島)として利用されていました。そして、1887年(明治20年)頃から新島住民が移住して開島し、本格的な開拓が始まりました。

詳しくは下記の記事をごらんください。

行政と産業

行政

式根島は東京都新島村の一部であり、新島にある本庁の出先機関として「新島村役場式根島支所」が置かれ、住民生活を支えています。

産業(就業者構成)

式根島の産業は、豊かな自然資源を活かした観光と漁業が柱となっています。就業者256人のうち約84%が第3次産業(サービス業等)に従事しており、島の経済を強く支えているのが特徴です。

  • 第3次産業(83.6%・214人): 宿泊業・飲食サービス業が47人と最多ですが、「その他サービス業」40人や卸売・小売業39人も同規模で続きます。教育・学習支援業(29人)、医療・福祉(14人)、公務(9人)など、島の社会を支える職種もあります。
  • 第1次産業(8.2%・21人): 漁業が中心(20人)で、タカベ、イセエビ、赤いか(アカイカ)などの漁が盛んです。農業は自家用が中心ですが、アシタバやサツマイモ(あめりか芋)などは島内で販売されたり、加工品の原材料となります。
  • 第2次産業(8.2%・21人): 建設業が20人を占め中心となっており、島のインフラ維持を担っています。

出典:令和2年国勢調査 第11表「男女,産業(大分類)別就業者数」(総務省統計局)

主な特産品・土産

  • たたき
  • 島焼酎
  • 島唐辛子
  • 温泉の素
  • 魚加工品
  • 牛乳せんべい
  • クラフトビール
  • レモングラスティー

名所・観光スポット

景勝地

神引(かんびき)展望台
「新東京百景」にも選ばれている島内最高の展望スポットです。

泊浦(泊海水浴場)
扇型の入江になっており、透明度が高く波が穏やかなため、家族連れに人気のビーチです。

その他、観光スポットはこちらをご覧ください

温泉

式根島は海岸に自噴する温泉が有名で、全国的にも珍しい海中温泉が複数存在します。

地鉈温泉
地面を鉈で割ったような険しい岩間に湧き出す温泉です。神経痛や冷え性に効能がある「内科の湯」と言われます。潮の満ち引きによって温度を調整して入浴する自然の露天風呂です。

足付温泉(あしつきおんせん):
切り傷などに効能があるとされ、「外科の湯」といわれています。

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