ツワブキとは
「ツワブキ」という植物をご存知でしょうか。光沢のある葉が美しく、一年中、常緑であることから日本庭園に植栽されるほか、佃煮「きゃらぶき」の原料として知られています。

暖地の海岸に自生するツワブキは、式根島の海岸から林縁に普通に見られ、民家の庭にも植えられています。式根島では早春から伸び出すツワブキの新芽を「ふきんとう」と呼んで、昔から身近な山菜として重宝していました。なかでも同時期に採れる岩海苔やはんばのりとふきんとうの炒め煮は、島民が愛してやまない郷土料理の一つです。
※式根島のふきんとうは、本土にある別種のフキの「蕗の薹(ふきのとう)」とは異なりますのでご注意ください
早春のふきんとう採り
ツワブキは直射日光を嫌いますので、木漏れ日が注ぐような林の半日陰でよく育ちます。式根島では、ちょうど明日葉と同じ環境になるので、混じって生えていることが多いです。


食用になるのは、綿毛をまとった柔らかな新芽です。茎が太く長いものが上物です。他の株が抜けないように軽く押さえながら、葉柄を掻き取ります。葉は使わないので、その場でむしって捨て、茎だけを持ち帰ると楽です。




明日葉、海苔、ふきんとうは、式根島の早春の味覚の代表です。

ふきんとうの食べ方(下処理)
ふきんとうはアクがあります。酢につけたり、半日から1日水に漬けるなど、色々な方法がありますが、式根島のゲストハウスひだぶんでは、熱湯をかけて15分くらい置いたら皮をむいて、ボールや鍋に入れた水に放ちます。そして、全て剥き終わったら、そのまま料理に使います。かじってみてアクが強いなと感じたら、ほどよく抜けるまで漬けておきます。気になる方はじっくり処理をするといいでしょう。






皮をむいて、と簡単に書きましたが、なかなか、ちまちまとした手仕事です。また、アクで指先が黒くなるので手袋推奨です。「良いのがいっぱいあった!」と大量に持ち帰ると、骨が折れる作業になるので要注意です。
写真は、式根島在住最長老の95歳のバァが、長年の要領でふきんとうの皮むきをしているところです。
「ふきんとうは美味しいから苦にならないよ」

ふきんとうと海苔の炒め煮
それでは、式根島の島民がこよなく愛する「ふきんとうと海苔の炒め煮」を作ります。海苔はハバノリでも岩のりでも良く、乾海苔を戻して使っても構いません。甘辛いきんぴらのような要領で作ります。海苔がよく煮汁を含むので、やや薄味で作るとよいでしょう。太く柔らかで、コクがあるふきんとうのもちもちとした食感と磯の香りの海苔がよく合って、記憶に残る美味しさです。
材料と作り方
【材料】
ふきんとう、唐辛子、海苔
【調味料】
醤油、和風顆粒だし、砂糖、油
【作り方】
フライパンに油をひいて、唐辛子とふきんとうを炒めてから、海苔を入れて、醤油、砂糖、和風顆粒だしで味をつけて、煮汁が少なくなるまで含め煮する。




同じ季節に旬を迎える山の幸と海の幸で、互いの味や香りを引き立て合う相性の良い組み合わせを、和食の世界で「出会いもの」と言います。ふきんとうと海苔の組み合わせは、異なる食感と風味がマッチした、まさに「出会いもの」。
この季節に式根島に訪れて、島宿の食事で出てきたらラッキーです。式根島の春の味を楽しんでくださいね!
最後に
式根島の山や土地はほとんどが島民の私有地です。無断立入りや植物採取はできませんのでご注意ください。
[参考]新島村観光情報「新島村の食材」
