大ごちそう「はんば飯」

荒磯に渡って天然ハバノリ摘み

式根島の早春の風物詩といえば「岩のり摘み」。岩のりより、少し遅れてピークを迎えるのが「ハバノリ」です。岩のりより、潮間帯のさらに下方に生えることから、特に干潮のタイミングを見計らって手早く採取しなくてはいけません。今回は、2月中旬に行ったハバノリ摘みの様子と、島民がこよなく愛する「はんば飯」の作り方までお届けします。

文字通り幅が広い海藻

ハバノリとは

ハバノリは、ワカメや昆布と同じ「褐藻類」の仲間です。ちなみに岩海苔は一般的な「アサクサノリ」などと同じ「紅藻類」に属します。ハバノリのほうが歯ごたえがあり、磯の香りも強くなります。

項目ハバノリ岩海苔(アマノリ等)
分類カヤモノリ科(褐藻類)ウシケノリ科(紅藻類)
色:生黄褐色〜茶色暗紫色〜黒色
色:加熱鮮やかな緑色に変化深い緑色または黒色

海苔という生き物の一生や生態については、重複しますので、下記の岩のり摘みの記事をご覧ください。

ハバノリの生える場所

ハバノリは潮間帯(満潮時には水没し、干潮時には空中に露出する境界領域)の中間から下あたり、波が打ち付けるような場所に生えます。岩海苔よりも限定的で、長さがある、よく育ったハバノリの群生を見つけると、島民もにっこりです。

上物のハバノリの群生

ハバノリ摘みレポート

式根島の美しい離れ磯に船を寄せました。

ハバノリ摘みをするときは、防水防寒仕度をして、スパイク長靴やフェルトの磯靴を履き、ライフジャケットをつけて完全防備で臨みます。潮が満ちれば海中に沈む潮間帯ですから、足元が滑ることこの上ありません。そして、良質な海苔は岩の側面にあることが多く、大変危険です。なお、式根島では岩のりやハバノリなどの海藻は漁業権が設定されていますので一般の方の採取はできません。

岩海苔とハバノリは同じ時期に採れますので、混生している場所もありますが、違いは比べてみれば一目瞭然です。質感もハバノリのほうがしっかりしており、昆布の新芽のような手触りです。ハバノリはハバノリ、岩海苔は岩海苔と袋をわけて採取していきます。

ハバノリ摘みの方が、ざくっざくっと大物をむしり取る感じがして、なかなかストレス解消になります!

さすが、漁師の見事な手さばき

ハバノリの処理

採取したハバノリのすぐ使う分以外は、何度も水を替えて洗ってから、軽く刻んで、エンガの上に広げ、1~2日干します。

エンガにのせてハバノリを干している様子
エンガにのせてハバノリを干している様子

干しあがった板海苔は、細かな石やゴミを取り除く「カイリョウ」という工程を経て完成します。手間暇を考えると、1枚数千円の価格となるのも納得の超高級品です。

干しあがった板海苔の細かな石やゴミを取り除く「カイリョウ」という工程をしているところ
カイリョウをしているところ

ハバノリご飯(はんばめし)の作り方

ハバノリは伊豆諸島はもちろん、伊豆半島から房総半島、日本各地の沿岸で食用にされ、特に千葉県の一部では正月に「ハバ雑煮」を食べるそう。式根島でも、昔から「はんば」と呼び、なかでも、生の、あるいは干して戻したハバノリを甘辛く炊いて、混ぜ飯にした「はんばめし」はこの季節ならではの御馳走でした。

各家庭の味付けがありますが、今回は式根島のゲストハウスひだぶんの作り方をご紹介します。炊き込みごはんではなく、混ぜご飯ですので、ご飯は別途炊いておきます。2月中旬から春の間、お食事にたびたび登場する大人気メニューです。

材料・作り方

材料
ハバノリ、しょう油、砂糖、みりん、油(サラダ油やごま油など好みで)、だし汁(和風顆粒だしでOK)、ご飯(炊いておく)

作り方

  1. 生のハバノリはゴミや石突をとる。干しハバノリは水でもどしておく。
  2. ハバノリを刻んで洗う
  3. フライパンに油をひいて、水気を切ったハバノリを炒める
  4. 醤油と砂糖、みりん、少なめの出汁(和風顆粒だし+水)で味付けをして煮含め、濃いめの甘辛味に煮詰める。出汁を多くすると煮詰めるのに時間がかかる。
  5. たきたてのご飯にさっくりと混ぜ合わせて出来上がり。残った味付けハバノリは冷凍保存で利用可能

独特の食感と鮮烈な磯の風味がたまらない、式根島のはんばめし。ハバノリ自体がなかなか手に入らないものですが、竹芝客船ターミナルの伊豆諸島・小笠原諸島のアンテナショップ「東京あいらんど」などで、干し海苔を売っていることがあります。見かけたら、ぜひ試してみてください!

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