「しま山100選」をご存知ですか?

「しま山100選」とは、公益財団法人日本離島センターが日本の離島にそびえる山から選定した百名山です。日本には数多くの名峰がありますが、島特有の歴史や文化、そして海に囲まれた絶景を楽しめることが選定のポイントになっています。

東京から南へ160km。伊豆諸島の式根島にある「丸山」も、その一つ。「丸山」は標高こそ98mと低いものの、新東京百景にも選ばれている神引展望台にあり、流紋岩でできた火山島ならではの砂漠感とエメラルドグリーンの海原に浮かぶ多島美は一見の価値があります。

東京諸島の「しま山100選」

東京諸島(伊豆諸島・小笠原諸島)では、以下の9座が選定されています。式根島の丸山は、この中で最も低い標高でありながら、森林限界のような矮小化した植生や、剥き出しの流紋岩が作る砂漠のような独特の景観が広がります。

山名標高 自治体・島名
 三原山 758m 東京都大島町・大島
 宮塚山 508m 東京都利島村・利島
 宮塚山 432m 東京都新島村・新島
 丸山 99m 東京都新島村・式根島
 天上山 572m 東京都神津島村・神津島
 長滝山 850m 東京都御蔵島村・御蔵島
 八丈富士 854m 東京都八丈町・八丈島
 大凸部 423m 東京都青ケ島村・青ケ島
 乳房山 463m 東京都小笠原村・母島

式根島のしま山100選「丸山」

式根島の北西部にあるしま山100選「丸山(標高98.5m、別名:カンビキ山)は、約1万年前に噴火した「式根島火山」によって形成されました。
式根島の溶岩は「流紋岩質(りゅうもんがんしつ)」といって、白っぽく、非常に粘り気が強い性質を持っています。この粘り気の強い溶岩が、火口からゆっくりと流れ出し、冷え固まる過程で独特の凹凸を生み出しました。丸山の頂上付近にある「神引展望台」からは、この溶岩が作り出したダイナミックなリアス式海岸を一望できます。

丸山へのアクセス

式根島は外周約12kmと伊豆諸島で最も小さな有人島です。徒歩30分で大体の場所に行くことができ、バスやタクシーなどの公共交通機関はありません。歩かない場合は、レンタサイクルやレンタルバイク、レンタカーを利用し、神引展望台駐車場に停めます。

この記事を読むような「しま山100選」をご存じの方は脚力に自信があるでしょうから、式根島を周回するルートをとるのがおすすめです。以下はモデルコースです。

丸山へのルート

神引展望台駐車場から階段で2、30m上がれば神引展望台に到着します。

そこから遊歩道らしくなっている道沿いに進み、左手に小高く見える丘に向かって踏み跡をたどると、丸山の頂上に出ます。

人が立っている小高い場所が丸山
頂上から展望台方面を見る

丸山頂上には江戸時代に伊能忠敬の測量チームが置いたと伝わっている方角石のレプリカと説明書が設置されています。

持ち物

軽装で登れないこともないですが、以下のアイテムは持っていたほうが良いと思います。

  • 歩きやすい靴
    流紋岩は別名コーガ石といってガラスの原材料になる軽石です。ぎざぎざ、ぐさぐさとした岩場になりますので、足をしっかり覆うスニーカーやトレッキングシューズが推奨されます。少しかすっただけで、皮膚が擦れたり、切れます。
  • 飲料水
    島内の自動販売機は限られています。式根島を歩く時は先に飲料水を用意しましょう。
  • 防風着
    稜線や山頂付近は海風が強く吹きます。薄手のウインドブレーカーがあると重宝します。

注意

  • 強風に注意
    海から突き上げるように吹く風は、急に強まる場合があります。風があるときは断崖に近寄らないでください。
  • クモの巣に注意
    春から秋は遊歩道や通路にクモの巣があります。拾った棒で払いながら進みましょう
  • 虫に注意
    ハチやアブなど刺す虫や、ツツガムシに注意
  • 熱中症に注意
    島の陽射しは想像以上に強く、日陰も少ないです。帽子を被り、飲料水を持つなど対策をしてください。
  • 動植物を採らない
    式根島の動植物や昆虫は観察に留め、持ち帰らないようにしましょう。

式根島ハイキングの醍醐味

ハイクで心地よく疲れた体を癒すのは、式根島自慢の海岸線に湧く秘湯群です。湯加減は潮まかせの「地鉈(じなた)温泉」「足付(あしつき)温泉」が代表格で、海辺に湧き出す天然の露天風呂は、潮風を感じながら浸かる最高の贅沢。快適温度を保つ「松ヶ下雅湯」など、いずれも水着着用の上、24時間無料で入れます。しっかり身体を洗いたい場合は、内湯の「憩の家」があり、入浴料はなんと200円です。式根島のハイキングの体験価値は温泉と一体です。

また、夜は降るような星空が楽しめます。特に、360度見渡せる神引展望台で眺める星空は、まるで宇宙の中に浮いているかのような没入感を与えてくれます。

式根島でのハイキングは、単なる運動ではありません。それは、火山の記憶、島ならではの植生、そして温泉という地球の恵みを五感で受け取る「旅」です。標高以上に豊かな体験ができる式根島の「しま山100選」をぜひ訪ねてください。

Q
初心者でも登れますか?
A

はい。遊歩道が整備されており、標高差も少ないため、お子様からご年配の方まで楽しめます。ただ、風が強い日は危険ですのでやめましょう。

Q
島で一番高い場所はここですか?
A

丸山(98.5m)ではなく、島の南西部にある「佐々木山(109m)」が最高地点です。より「踏破」を意識するなら、唐人津城から佐々木山を目指すルートも併せて検討してください。

Q
ベストシーズンはいつですか?
A

7月~9月は陽射しが強く、観光客で混雑します。宿も船も繁忙期料金で予約しにくいこともあり、歩くには10月~6月がおすすめです。特に4月から6月はシチトウスミレなど花が多く、GWあたりなると唐人津城ではオオシマツツジが見事です。この時期は高速ジェット船が使える事が多いので、本土からたった3時間で式根島に到着できます。

12月下旬から2月は西ん風という特有の強風になる日があります。20m近い風になりますので、そういう時は崖に近寄らないようにしましょう。

Q
式根島の歴史を知りたいです
A

明治時代まで無人島だった式根島の歴史は以下の記事をぜひごらんください。島内ウォーキングの解像度がUPします。