春から初夏にかけて、式根島の海は一年で最も表情豊かになります。その理由は「春の大潮」です。

春の大潮とは

潮汐は、月と太陽の引力と自転に伴う遠心力が組み合わさった「起潮力」によって引き起こされます。新月や満月の時は、太陽・月・地球が一直線に並ぶため、すべての引力が重なって、潮位(海面の高さ)の干満差が最大になります。この時期を「大潮」と言います。

なぜ春は干満差が大きくなるのか

潮位には季節変動があり、春および秋は太陽が赤道付近に位置するため、潮位の変動が激しくなります。また、日本の太平洋沿岸では、春から夏にかけて「1日のうちで最も潮が引く時間」が日中に重なります。冬場は夜間に最大干潮が起こるのに対し、春は明るい時間帯に大きく潮が引くため、視覚的にも干上がった様子が際立ちます。さらに、海水は温度が低いほど密度が増し、体積が収縮するため、水温が低い春先は平均潮位自体が低くなる傾向にあります。これに高気圧による海面の押し下げが加わることで、非常に低い潮位となります。

なお、理論上は「大潮」が最も潮位差が大きくなりますが、実際には「中潮」の日のほうが最低潮位を下回ることがあります。


式根島と春の大潮

磯物や海藻の採集

春の大潮の干潮時には、普段は海中にある広大な岩場が露出します。地元住民にとっても、春の低潮位は豊かな海の恵みを確認する重要な時期となっています。

② 幻の海中温泉への入浴

式根島の野湯の多くは波打ち際に位置しており、入浴できる、できないは潮位によります。特に難易度の高い海の中のスポットは、大潮の干潮時でなければ入浴に適した条件にならない場所があります。

  • 奥ふなりっと温泉(奥の院)
    足付温泉や山海の湯からさらに海側へ進んだ場所にあります。大潮の干潮時にのみ、海水との混合比率が適切になり、入浴可能な湯舟が姿を現します。
  • 奥・奥ふなりっと温泉
    さらに外海に近い場所に位置するため、「大潮」「凪」「干潮」の条件がすべて揃わなければ到達すら困難な、極めて希少性の高いポイントです。
  • 御釜湾海中温泉
    御釜湾の断崖下に温泉が自噴しており、大潮の干潮時には船をチャーターしてアプローチすることが可能になります。

大潮ギャラリー

いつもの海岸が見違えます