
アシタバ

伊豆諸島はじめ太平洋岸の暖地の海岸に自生する日本固有種。茎は太く上部で分枝する。葉は1〜2回3出羽状複葉、粗い鋸歯がある。若葉は香り高く味も良く、伊豆諸島特産野菜として栽培される。「今日摘んでも明日には新しい芽が出る」と言われるほどの旺盛な生命力が「明日葉」という名の由来。茎を折るとにじみ出る鮮やかな黄色の汁には、アシタバ特有のポリフェノールの一種「カルコン(キサントアンゲロール等)」が含まれる。カルコンにはがん抑制作用などさまざまな薬理効果が報告されており、アシタバ茶やアシタバ粉末を使った乾麺などもお土産として人気がある。ハマウド Angelica japonica A.Gray と似るが、ハマウドは黄色の汁を出さない
島特産の香り高い野草・野菜
式根島では夏をのぞいて1年中食べることのできる、アシタバ。セリ科のなかでも独特の香りがあり、食欲をそそられます。おひたし、天ぷらのほか、ベーコンと炒めて良し、刻んできんぴらや佃煮にしてご飯に混ぜて良し。鯛めしを炊いて蒸らすときに一つかみのアシタバを入れれば、料亭の味です。
アシタバは野草であり、野菜でもあります。式根島では道沿いや山野に自生していますが、各家庭の庭先や畑で栽培され、島の食文化を支えています。自生するアシタバと栽培されているアシタバのDNAを調べた近年の研究により、栽培種は八丈島起源であることが判明しました。伊豆諸島北部の自生個体は、八丈島の自生個体と遺伝的に異なっているとのことですが、栽培地と自生地が近い式根島では、もしかすると自生個体と栽培個体の交雑が進んでいるかもしれません。
種子から育って3年目の夏から冬にかけて、アシタバは淡い黄緑色の花を咲かせます。小さな花が集まって上を向いている散形花序には、ハエなどが訪れて蜜を舐め、花粉を媒介していました。
DATA
| 和名 | アシタバ(明日葉) |
| 学名 | Angelica keiskei (Miq.) Koidz. |
| 分類 | セリ科 Apiaceae |
| 大きさ | 0.5m〜1.2m程度 |
| 好む場所 | 暖地の海岸付近、明るい林縁 |
| 式根島で見られる場所 | 道沿い、林縁、畑 |
| 分布 | 房総半島〜紀伊半島、伊豆諸島、小笠原諸島 |





参考文献
林弥栄、門田裕一監修(2013)『山渓ハンディ図鑑1 増補改訂新版 野に咲く花』山と渓谷社、pp.492-493.
木曽雅昭、吉田優子(2001)アシタバに含まれる機能成分(カルコン)に関する研究。東京農試験報, 30, pp.1-7.
鈴木浩司(2017)「アシタバ」「ハマウド」in『改定新版 日本の野生植物 5』大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩 編著、平凡社、p. 389.
Tsutsumi, C., Yamamoto, K., Kakishima, S. (2024) Genetic diversity and origin of cultivation in Angelica keiskei (Apiaceae). Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. B, 50(3), pp. 121-130.
米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名-学名インデックス(YList),http://ylist.info(2026年5月24日閲覧)
書いた人

こんにちは。神田外語大学で環境科学と生物学を教えている飯島明子です。学生のころ巻貝の調査で通った式根島に、また訪れるようになりました。島での私のあだ名は「シッタカの姉ちゃん」(磯にすむ小さな巻貝を島ではシッタカと呼びます)。式根島の生き物を紹介しています。
