
タラノキ

山野や林縁の日当たりの良い場所に自生する落葉低木。幹や枝に鋭い棘があり、春に伸びる若芽「タラの芽」は山菜の王様として広く親しまれる。式根島でも春の山菜採りの対象として地域の食文化に根ざしている。葉は枝先に集まってつき、2回羽状複葉。葉軸は羽状に対生する小葉軸に分かれ、小葉軸には5〜9枚の小葉がつく。7〜8月、枝先に大きな複合散形花序を出し、白色の小花を多数つける。果実は秋に黒熟する。成長が早く、伐採跡地や道端など明るい場所にいち早く進出する先駆種
味が違う?
タラの芽は天ぷらにして食べる人が多いと思います。私も山菜の天ぷらは好きですけれど、タラノキやハリギリなどのごく若い葉を集めてきて、炒めたものをオムレツに添えるのも大好きです。ドイツやスイスでは、ホワイトアスパラガス(シュパルゲル)を添えたオムレツが春の味覚です。しかしウコギ科の若葉炒めを添えたオムレツは、シュパルゲル・オムレッテに勝るとも劣らない、日本の春の味覚と言えましょう。
今年の3月、式根島のタラノキの若葉を集めてオムレツに添えていただいたところ、不思議なことに気づきました。
今まで食べてきたタラの芽と、味が違う。
タラの芽特有の苦味がほとんどありません。これは一体どういうことなのか。
今回、タラノキについて書くために調べていて気づいたのですが、ことによると「式根島のタラノキ」は、リュウキュウタラノキの変種のシチトウタラノキの可能性があります。ただ、シチトウタラノキは棘がないことになっているのですが(稀にある)、式根島で見たタラノキは、あまり多くないとはいえ棘はありました。それに式根島の過去の植物目録では、タラノキとシチトウタラノキの両方が掲載されていますから、私が見た(食べた)のがどちらなのか、もう少し詳しく観察する必要がありそうです。その結果次第で、この項目を書き改めることになるかもしれません。
図鑑にはあまり掲載されない形質ではありますが、味の違いというのは何だか大きそうな気がします。味で種判別できたら、それはそれで楽しいかも…。
DATA
| 和名 | タラノキ |
| 学名 | Aralia elata (Miq.) Seem. |
| 分類 | ウコギ科 Araliaceae |
| 大きさ | 樹高 2〜5 m、複葉の長さ50〜100 cm、小葉の長さ5〜10 cm |
| 好む場所 | 丘陵や低い山地の崩壊した斜面、荒地、伐採跡地、道端など |
| 式根島で見られる場所 | 林縁、海岸、家の周辺 |
| 分布 | 北海道〜九州、伊豆諸島、朝鮮半島、極東ロシア、中国(東北部) |






参考文献
八丈植物園・八丈ビジターセンター(2026)「シチトウタラノキ」https://www.tokyo-park.or.jp/park/hachijo/creature/detail/0002.html 公益財団法人東京都公園協会(2026年6月4日閲覧)
宮崎卓・八木正徳(1999)「シチトウタラノキ」 in 『新島・式根島維管束植物目録』新島村博物館研究紀要(平成11年度)添付資料、p.36.
大橋広好(2017)「タラノキ」「リュウキュウタラノキ」「シチトウタラノキ」in『改定新版 日本の野生植物 5』大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩 編著、平凡社 p. 374-375.
高橋秀男(2003)「タラノキ」 in 『山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花2』高橋秀男・勝山輝男 監修、山と渓谷社 pp.696-697.
山本和夫(1996)「5. 新島・式根島動植物目録 植物目録」 in 『新島村史 資料編I 別冊 動植物目録・自然関係資料』p.40.
米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名-学名インデックス(YList),http://ylist.info(2026年6月4日閲覧)
書いた人

こんにちは。神田外語大学で環境科学と生物学を教えている飯島明子です。学生のころ巻貝の調査で通った式根島に、また訪れるようになりました。島での私のあだ名は「シッタカの姉ちゃん」(磯にすむ小さな巻貝を島ではシッタカと呼びます)。式根島の生き物を紹介しています。
