
ニセクロナマコ

円筒形の大きな黒紫色のナマコ。身体は柔らかい。背中側には円錐形の疣足が多数あり、間に管足が点在する。腹側には管足が密生する。管足の先端に吸盤があり、石や砂に貼りついてゆっくりと移動する。砂を飲み込んで食べ、その中の有機物を消化吸収する。素手で触っても害はないが、肉(体壁)にホロチュリンという毒をもつ
黒くて長い、あいつの正体
一般的にナマコというものは、泳ぐことも飛びかかってくることもなく、触ってかぶれることもなく、歯も棘もなく、「そんなに無防備で大丈夫なの?」と訊きたくなるような生き物です。これほど無害な生物なのに、「式根島に遊びに来た子たちが怖がっている」と聞いて、私はびっくりしました。ニセクロナマコにかぎらず、ナマコは怖くないですよ!
もちろん、怖いものを「怖い」と思うことは安全上重要ですが、怖くないものを「怖くない」と知ることで、自分の世界は広がります。ニセクロナマコが無害な生きものだと知ったあなたは、次に式根島の磯でこの生き物に出会っても、もう悲鳴をあげることなく、落ち着いて写真を撮ることだってできるでしょう。 無害な生きものですから、つついたり握ったりして、柔らかさや感触も確かめてみてはいかがでしょうか。ただしあまりぎゅうぎゅう握ると、「キュビエ器官」というべたつく内臓の一部を肛門から吐き出すので、ほどほどに…。
DATA
| 和名 | ニセクロナマコ |
| 学名 | Holothuria (Mertensiothuria) leucospilota (Brandt, 1835) |
| 分類 | 棘皮動物門 Echinodermata ナマコ綱 Holothuroidea 楯手目 Aspidochirotida クロナマコ科 Holothuriidae |
| 大きさ | 30 cm以上になる |
| 好む場所 | 岩礁海岸の潮間帯下部〜浅海域の砂地や転石下 |
| 式根島で見られる場所 | 石白川海岸、釜下海岸など、海底に砂があるところ |
| 分布 | 房総半島以南の南日本、熱帯・亜熱帯の太平洋・インド洋沿岸 |

参考文献
今原幸光(編著)(2023)『新 写真でわかる磯の生き物図鑑』(海文堂)
本川達雄、今岡亨、楚山いさむ(2003)『ナマコガイドブック』(阪急コミュニケーションズ)
立川浩之(2016)『海の生き物観察ノート13 ヒトデ・ウニ・ナマコを観察しよう』(千葉県立中央博物館 海の博物館)
内海冨士夫(1965)「にせくろなまこ Holothuria leucospilota (Brandt)」in『復刻版 新日本動物圖鑑 下』、p. 90(岡田要、内田清之介、内田亨ほか著、北隆館、2004)
WoRMS (2026). Holothuria (Mertensiothuria) leucospilota (Brandt, 1835). Accessed at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=210881 on 2026-04-22(2026年5月22日閲覧)
書いた人

こんにちは。神田外語大学で環境科学と生物学を教えている飯島明子です。学生のころ巻貝の調査で通った式根島に、また訪れるようになりました。島での私のあだ名は「シッタカの姉ちゃん」(磯にすむ小さな巻貝を島ではシッタカと呼びます)。式根島の生き物を紹介しています
